『ゴホッゲッホゴホッ』


―――カチ、カチ、カチ


頭が朦朧とする中、自分の咳と時計の針音だけが響く


意識がふわふわとしているだけで、眠ることが出来ずにただ時間が過ぎて行った


そんな中、真流の熱は上がるばかりだった


『ん゛―、ゴホッゴホッ』


熱を計ってみると、38度8分と下がるどころか上がっていた


喉が渇いて母が置いて行ったペットボトルに手を伸ばすも、既に空になっていた


『……はぁ』


真流ははっきりしない意識の中で、ベットから起き上がった


座「あ?なにしてんだ?」


窓際でペットの猫を撫でていた座敷わらしが顔をあげた

どうやら、真流が学校へ行く時間は普段、猫とじゃれて過ごしていたようだ。


『……水、ゴホッ取ってくる』


座「へー」


座敷わらしは特に気にする様子もなく、再び猫を撫で始めた


『…(もしかしたら水を取ってきてくれるかもって期待した私が馬鹿だった)』


真流は重い腰をあげ、台所へ向かった


ゆっくりと階段を下り、冷蔵庫から天然水とポカリを取り出すとまた来た道を戻って行く


『ゲッホゴホッゲッホ』


咳き込む度に響く頭痛に、苦しみながらも階段に上りかけたその時、


―――ガクッ


半脱げになったスリッパが階段に引っ掛かり、後ろに転がり倒れた


鈍い音を立てながら体を打ち付けた真流はそのまま意識を手放した