座敷わらしは近くの壁にもたれ、一息置くと口を開いた




座「…人の幸せってのは、±0なんだよ。」



『…ぇ』


真流は珍しく穏やかなトーンの座敷わらしに目を見開く




座「人は女の腹から、泣いて生まれる。
その生まれてからの人生何があろうが、最終的に笑って死ねたら…
…それは十分な幸せだよ。」



座敷わらしは首を屈めてフッと微かに微笑む



座「だから、笑って死ねたお前の爺さんは幸せな人生だったんじゃねーの?




座敷わらしはもたれてた身体を起こすと、真流の頭をトンと小突いた


『ぁたっ』




座「まぁ、その爺さんが笑って最後を迎えられたのはお前のお陰なんだろーな」




座敷わらしはそう言うと、ふっと姿を消した




『……褒められた…のか?』




泣いて生まれて、笑って死ねて、それで±0。


+でも-でもない、そんな最上級な幸せ。



そんな幸せな人生の最後を祖父が生きる事が出来たのは真流のお陰。



座敷わらしの最高の誉め言葉を貰った真流は顔のニヤケが止まらなかった