今のはきっと空耳だ。きっと、関わったら大変な事になると自分の勘がうるさく心臓を鳴らしていた


「そこの人、こっちにきなさいな」


グンと耳元で聞こえた声に息が止まりそうになる。背中を向けていた方に体をなおす


ジジイかババアかわからないヤツは耳元で聞こえるような距離にはいなかった


それどころか、アグラをかいて青いシートに座っていた


「こっちにきなさい」


ジジイかババアかわからないヤツの言葉が俺の足を引っ張っていく


いや行きたくねぇ


「はい、いらっしゃいませ」


「は?」


なにも売ってないのに何がいらっしゃいませだ


「魂、借りません?売りません?」


「あ?なんだって」

頭、大丈夫かよコイツ。魂なんて借りれねーし
ましてや売れるわけねー