『泊まれる?』

先生の言葉に
少し躊躇した

またママに嘘をつく

その罪悪感から
すぐに『うん』とは
答えられなかった

『嘘つくのは
良くないか…』

先生がわたしの気持ちを察知したように言う

『うん…。でも
先生に会いたいから
泊まる』

今度は先生が躊躇した

先生は、少し悩みながら

『夏海が
高校卒業したら
ちゃんと謝って
挨拶に行かなくちゃな』

と言った

今、ママに
本当の事を伝えても
ママは理解して
くれるだろうか

大事なママに
嘘をつくのは嫌だった

でも、理解して
もらえないとしたら…

先生もママも大事

ママがわたしを
産んでくれなかったら
わたしは先生と
出会う事は出来なかった

言うべきか

言わないべきか

心の中で葛藤しながら
先生との電話を切った