……俺は何を…何をしたんだ?


自問自答してみるが、実際に自分でも良く分からなかった。


俺は愛する加奈を、自らの手で殺めてしまったのか?

自らの手で……

さすがの俺もグッタリと横たわっている加奈を見下ろしながら、がっくりと肩を落とした。

今までの殺し方とは明らかに異なっている事に、動揺し混乱していた。

自分の意志とは別に、誰かが俺の体を操作しているような感じ。
その証拠に、途中の記憶が全くないのだ。

今までの計画的な快楽殺人とは訳が違う。

体が言う事を効かない事実。

カラカラに渇いた喉を潤したかったのだが、さすがに加奈を放置して行く訳にもいかず、加奈を崖から突き落とした。

もちろん、証拠を全て消し去る事は忘れなかった。

そこら辺は、昔からの経験が役に立ってくれていたのだ。

加奈を突き落とす時は、さすがに胸が痛くなったよ。


だって、本気で愛していたから……


加奈はゴロゴロと転がり落ち、やがてものすごい勢いで木にぶつかった。
ドンッと鈍い音がして、木に巻き付くようにして止まった加奈を見届けると、俺は走って家に帰った。