こうして、奇妙な出会いから雨音の家に行く事になった。
２駅程行った所に雨音の家は有るらしいのだが、彼女曰く
『かなり歩くけど、大丈夫？』
と。
そんな事を言われても、今更引き返せない。
そして、１つ不思議な事が有った。
俺と歩いているのに、事故が起きないのだ。
さすがに、出会ってすぐにそんな事を聞ける訳も無く、一般的な世間話で場を繋いでみる。
しかし、彼女は終始俺に聞かれた事しか答えず、あまりこちらを見なかった。
気になる彼女の行動。
つい気持ちが急かされてしまう。
しかし、そんな気持ちに反して体はどんどんと熱を帯び、ダルくなる一方だった。
ただ俺は、自分がどうなってしまって居るのかを知りたい欲望だけなのだ。
駅に着き、彼女の後を付いて行くと不意に振り返りこう言った。
「タクシーで行こうか？体がしんどいでしょ？」
まるで、心の中を見透かされて居たかの様な言葉に呆気に取られる一方、今の俺には頷く気力しかもはや残って居なかった。
素直に頷くと、彼女はタクシー乗り場に向かい、俺を先に乗せてくれたのだった。
