「人は死んだら星になるって言うけど、俺は月になるから。あっ『なる』じゃなくて『行く』ってのが正しいかな」

「なんで月なの?」

「星はすごく遠いけど、月は近くて寂しくないだろ?」

「うん。そっか! みんなのこと近くで見守れるってことだね」

「月くらい近ければ見落とさないかなって。志穂ちっこいから」

「ふーんだ。どうせちびっ子ですよだ」

「おまけに童顔。あっ、次入学って小学校だったけ〜? ごめんごめん」

「あっ、いたいた。健一くん! もう検査の時間だよ」

「ちぇ。見つかったか。しゃーねー。んじゃ、志穂また明日」

「うん。健ちゃん。ガンバ!」

「余計なお世話だ。志穂も頑張れよ。あと、高校ちゃんと行けよ」

彼は笑いながら手を振ってくれた。