「柏原………」 程なくして聞こえてきたのは、我が主の消え入りそうな声。 「いかがなさいましたか? お嬢様」 フィッティングルームのドアが少しだけ開いた。 「ヒモが結べないの。柏原、縛り付けるの得意でしょ? だから、お願い」 お願いと、差し出されるは白く美しい首から伸びる二本のヒモ。 こんな不安定なもので、お嬢様はご自分の胸を隠されるというのか? そんなこと絶対に許可できない。この水着のデザイナーは何を考えてるんだ、正気の沙汰とは思えない。