お嬢様は執事様!






口から自然に漏れる甘い声が

自分のものだと信じたくなくて、

あたしは必死に顔を反らせた。




そして、やっと解放してもらった

頃には酸欠のあたし…。





「…はっ はぁっ…

ちゃんと、呼んだのにっ…。」



「今のはお前が悪い。」



「なんでよ!

何も悪いことしてないもん。」



「あんな顔で見られたら

余裕なくなるっつーの。」



へ? あんな顔?

さっぱり意味わかんない。



「とにかくお前が悪い。

あ、それから次から下の名前で

呼ばなかったらキスな。」




それだけ言うと部屋から

出ていってしまった。




…なんなの?

ほんと意味わかんない。



大和はあたしの心を

乱しすぎだよっ…。




それからはなかなか荷物を

まとめるのに集中できず、



終わったのは夜の一時を

まわったころだった…______