「あたし、ひとりなんだ。」


聞くべきではなかった。

「え…親父さんたちは?」


「友哉が引っ越してからすぐにね…どっか行っちゃった(笑)」


無理して笑うなよ…


「そっか。里奈ひとりでつらくねぇの?」


「ううん。慣れちゃったよ。」


「そっか。」



詳しくは聞けない。

俺が持ち出したことなのにはやく話を終わらせたかった。


里奈の両親が居ない。


『一人でつらくねぇの?』って聞いたら『慣れた』と言った里奈…


まぢ無理すんじゃねぇよ。


外灯の明かりしか光がなく、すれ違う人すらいない道に俺と里奈の声が響く。


俺は好きな女を苦しめる事しかできねぇのか…



自分に腹が立った。



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