なんで……そんな優しい声を出すの。 「別に……なにもないよ」 あたしは目をそらしたまま、そっけなく答えた。 「じゃあなんで逃げた?」 「に、逃げてなんか……」 本当は逃げた。 仲のいいふたりを、これ以上見ていたくなくて。 「恵梨の態度に、なにか不服ごあったのか?」 「……ちがう」