好きな人は、天然タラシ。

 

灰皿に煙草の灰をトントン、と落とした福嶋さんの視線が、私を捕らえた。


「!」


「…やっぱり見てる。それ、俺に興味持ってくれてる、って思ってもいいんだよね?」


「―――っち、違…」


「違くないでしょ?」


そう言って、福嶋さんは煙草をくわえ、吸う。


ふ~、と横に出される煙。


戻ってきた福嶋さんの目は、完全に私を誘惑する目だった。


…無意識にそういう風に見るの、やめてほしい。


福嶋さんの甘い視線に耐えきれずに目線を落としてしまった瞬間、思わぬ言葉が耳に入ってきた。


「…あ、そろそろ日付変わっちゃうね」


「え?あ、そうですね…」


私は自分の腕時計を見る。


11時50分。


もうすぐ、誕生日も終わり。


いつもと同じように終わるはずだった誕生日だったけど、まさかこうやって福嶋さんと二人で過ごせるなんて、思ってもみなかった。


この時間だけで、素敵な誕生日になった気がする。


いつもとは違うドキドキも味わえたし。


「…よし。やっと落ち着いた」


キュッ、と福嶋さんが煙草の火を消したのが視界の端っこに映った。


「終わりかけてるけど、やっと言える」


「え…?」


私が何のことかと福嶋さんの方を向くと、福嶋さんがにこっと柔らかく微笑んだ。