午前の授業はあっという間に過ぎて行った。


でも、授業の内容など全くと言っていいほど頭に入ってはこなかった。

ずっと、薫のことを考えていた。


今、薫は何を考えているのだろうか。

今、薫は誰のことを思っているのだろうか。

今、薫はどんな気持ちでここにいるのだろうか。



そして気が付けば昼食の時間。

いつもなら薫と楽しく会話をしながら食べているのだが、今日からは薫はいない。

かと言って、誰か他に一緒に食べてくれそうな人もいなかった。



そこで、私は人気のないところを見つけて食べることにした。

そこは、学園の敷地にしては少し整備不足を感じるところだった。



それでも、今の私にとっては落ち着ける場所だった。

持って来ていたお弁当を開ける。




いつもと変わらない、美味しそうなものがたくさん詰められていた。


しかし、やはり、食欲はなかった。

今朝も、急いでいたのもあったが、食事をとろうという気には全くならなかった。


こんなにもおいしそうな食事を作ってくれたシェフに感謝の言葉を言いたい。


しかし、食べられそうにない。
それなら、誰かにあげた方がましなのかもしれない。


でも、誰もいないこの場所ではどうしようもできない。



そっと、お弁当のふたを閉めた。


そして、周りを見回してみた。




そこは、確かに整備不足だった。

でも、どことなく安心できる場所だった。


上を見上げると、青い空が広がっていた。


青い空を見上げていると、視界がゆがんでいく。



それは、私の目にできた小さな海のせい。