薫の目が点になった。

「は、い?」

「だから、できたみたいなんだって・・・。」


「ま、ぢ?」
「まぢで・・・。」


思わぬ知らせに、新婚旅行で来たグアムで早速大はしゃぎな薫。

「なんで、それ早く言わない!?さっき思いっきり空港で走らせた俺、最低じゃん!」

「まだ、大丈夫だよ。かろうじて。」
「ったく、じゃぁ無理はこれから禁止な。荷物も俺が持つから。」

「もぉ、まだそこまでじゃないって。」
「いや、そこは執事として、お嬢様を護る役目があるので。」

「あら、じゃぁお願いします。」


と言って、私の荷物と薫の荷物を全て薫自身に任せた。


「ちょ。ちょっと、このハンドバックくらいは・・・」
「全部持ってくれるんでしょ?」

「意地悪ですか。」

「何のことかしら?」


私一人先に歩く。
そのあとを大量の荷物を持った薫が付いてくる。


そろそろ大変そうだと思い「ハンドバックくらいは持つよ」と優しく言ったのに・・・。


「俺が持ちますから!」

意地っ張りな旦那さんはちょっぴり困ります。


そんな中私の目にあるお店が目にとまる。

そこは、ペットショップ。


そして、見つけた。
あなたを―――


「あっ!」


そこにいたのは、白いフワフワした毛を持った柴犬。

「姫乃!?」


薫を置いて一人小走り気味に柴犬の元へ向かう。

そして、呼んでみたのだ。
キミの名前を―――


「シ、ロ?」

そんな気がした。キミの名前は、シロ。


『キャンッ!』


また会えた。

シロ―――