「藍沢」

「あ、おはよう。館川くん」


ぼーっとしている間に、気づいたら学校にいた。

不思議そうに私を見てる、館川くんに、笑顔を向ける。


「どうか、した?」

「どうして?っ、」



夏にしては冷たい、館川君の手が、頬を滑って、ぴくりと肩が揺れた。



「泣きそうだから…」

「…なんでもないよ」



彼が鋭いのか、私が顔に出てるのか、それはわからない。


「何も、ないよ…」


2回、繰り返してしまうのは、肯定しているような、ものなのに…。

どこか心地よい手に少し、顔を預ける。



「…なら、そうゆうことにしとく」

「うん」



するりと離れていく手を、寂しいと感じた私は、どこまで図々しいんだ。