『辛いことがあったの?』
辛いこと…あった。
兄さんが死んだとか、
捨てられたとか、
もう生きる意味が…ないとか。
「何でもない。気にしないで。」
『いや、気にするよ!!私で良ければ聞くよ…っね??』
笑顔で彼女はそう言った。
その言葉には裏表も何にもないと思った。
そして僕はこれまでのことを話した。
「………――ってことなんだ。」
でも、能力のことは言わなかった。
彼女のほうを見ると…泣いていた。
『実の母親に…辛かったね、それにお兄さんの事も…』
中々、泣きやまない。
ハンカチも持っていないので何もしてあげられない。
『私も家族に捨てられたんだ…』
「……え??」


