きっかけは些細な事だった。 それが大きくなり、収集がつかなくなってしまった。 喧嘩とはそういうものだ。 羽兎は探偵事務所の所長である三雲紘哉(みくも ひろや)と喧嘩をした。 そして事務所を飛び出してきたのだった。 「……ふぅ」 羽兎は走っていた足を止めた。 随分遠くまで来てしまったらしい。 彼女はトボトボと歩き始めた。 行く宛もない。 取り敢えず歩くしかない。