歌姫はギタリストに恋をする゚*。

「去年までのツアーが特別じゃないわけじゃないけど……今年のツアーは、今まででよりもより特別な想いがあるの。きっとみんなにとってもね」


それは言わなくてもわかること。



私は、慶の顔を見つめた。





「初日から気合い入れて行くぞー!」

「「オーー!」」


私の気合い入れと共に、みんなが声を合わせて同時に気合いを入れた。




私はスタッフと、スタンバイ位置に向かう。

その途中で、慶にお尻を叩かれる。

仕返しに、私が慶の腕を叩く。


私たちのこの行為は、『がんばろうね』とお互いが言っているのと同じこと。


去年はなかったこのスキンシップが、帰ってきた。

それだけで、泣きそうになる。







がやがや

がやがや




スタッフに連れられ、スタンバイ位置につく私。


会場からは、お客さんの声が聞こえてくる。