「聞いてる?」 「ちっ、智那! 見てよ!」 るながそう叫んで、いきなり振り向く。 珍しく、冷静じゃないるな。 腕がピアノのほうにめけられ、その先の細い指がのびていた。 るなの指の先を辿っていくと、冷静を失うわけもわかった。 「こ……これ、全員合唱団?」 「昼休みに音楽室にいるってことは、そうでしょ……」 ピアノの周りには、真新しい制服に身を包んだ生徒がズラッと並んでいた。 その奥には、見覚えのある私たちより一つ学年が下の子たちもいる。