怜と朱莉が同時に私を見た。



「それって……」

「きよしこの夜?」



2人が驚いた表情をするのを見て、私の歌がとまった。



「私が小さいときにね、風邪ひいたらお母さんが歌ってくれたの。『きよしこの夜』を」



風邪をひく季節なんか関係なかった。


今日みたいな晴れわたる青空が出ている12月とは程遠い日でも、クリスマスを過ぎたばかりの1月でも。


私が風邪をひいたときは、必ずこの歌を子守唄にしてくれた。



「それきいたら、私は安心して寝れたから。だから、奏太も――」



「安心して寝てね」私がそうひとりごとのようにつぶやいた。



そのとき、奏太の体が少しビクッ動いた。

ほんの少しだった。



でも、たった1回、それっきりだった。




考えすぎか――――




窓からわずかに差し込む光は、部屋をだんだん明るくしていった。