智那side. 崎田先生お気に入りのマグカップから、うっすらと湯気がたっていた。 そこから香る、先生特製のミルクコーヒーの匂いが私の体を撫でていた。 「智那」 ゆらゆらとゆれるかすかに白い湯気から、崎田先生の声で、現実に引き戻された。 「もう1回、考え直してくれない?」 今までに見たことのないような、崎田先生の困った顔。 そうさせている原因が自分なのだと実感すると、少々胸が痛む。 でも。 「もう決めたんです。やめるって」 その意思はきっと、変わらない。