背を向けた瞬間、涙が溢れてくる。 楽しかった時間が嘘みたいで いっそのこと全部夢であってほしかった。 そばにいたいって もっと知りたいって 欲が出る前に 愛を知る前に 全て、覚めてほしかった。 結局、私は 誰からも愛されない。 やっぱり私は 生まれてくるべき子ではなかったんだ。 私は一度も振り返らなかった。 男が彼女を支えて帰る後ろ姿を 何度も見てきた私が 男に背を向けて去るのは これが初めてだった――。 そして、現実は 更に残酷だと知る――