「……怖く、ないんですか」
リリスは、短剣をクロアの首筋から離しながら聞いた。そして、
「ん?ナイフは怖いよ?」
あっけらかんと返ってきた答えに、一瞬脱力する。
『……この人は…………』
殺気を浴びせても安眠できて。
睨みつけても受け流し。
「でも、リリスは怖くないから平気だよ」
安穏と笑いながら、ナイフを持ったままの自分を抱きしめる王子。
……けれど、それで済まされる事じゃない。
「…………馬鹿ですか、貴方は」
クロアの胸を強く押して、優しい束縛から逃れると、クロアの目を強く強く睨んだ。
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