「お、ヒナちゃん! 早いね! 待った?」


「い、いえ・・・」


「そっか。じゃぁ浜で散歩でもする?」


「は、はい。」



夏は日が沈むのが遅い。


外はまだ昼間の様に明るい。


大分ひいた方だが、まだたくさんの人が浜辺で遊んだり寝転んだりしている。


私たちは初めて、一緒に並んでこの湘南の浜を歩いた。


お互いに相手の存在を全く知らなかった訳ではない。


なのに何故か一緒に歩くことのできなかった浜。


過ごすことのできなかった時間。



それを今こうして二人で一緒に歩いている事自体が、ヒナにとっては特別なものだった。