カトレヤ・アリスと言えば、とても繊細なタッチで不思議なおとぎ話風の絵を書いている有名画家だ。

わたしもそこまで絵に教養があるわけではないけど、この人の絵は昔から結構好きだった。

残念ながらわたしが生まれる前には、もう亡なってしまっていたそうだけど。



「これ、すっごい行きたい」

「でしょでしょー? しかも、今日は短縮授業だから早く終わるし」

「行くしかないでしょ」

「言うと思った!」



朝水は口の前で手を組んで、本当に嬉しそうに笑っていた。

つられてわたしも笑った所で、始業のチャイムが鳴る。



「「あとでね」」




ぴったりのタイミングでお互いにそう言って、わたしたちは放課後を心待ちにしていた。