会長に着いて行くと建物の奥の木製の扉へ…。


泉堂君は建物の入口にもたれ、こちらを見ている。


「こちらへどうぞ。」


中へと通された。

中はまるでお姫様の部屋のようで、白とピンク、フリルに花柄。


部屋をほぅと見回していると後ろから抱きしめられた。


へ?何が起こってるのか…理解して戸惑う。


「か、会長!?…な、なんですか!?」


「亜由美さん、私、あなたが好きなの。あんな野蛮な男、止めなさい。」


私が好きっ!? えっ?いや、私、女だけど…。

「会長…冗談ですよね?アハハ…からかわないでくださいよ。」


絡まる腕から逃れようとするけどびくともしない。


「あんな野蛮人、好きじゃないんでしょう?脅されてるの?大丈夫、私が何とかするから。」


『好きじゃない』
それは……でも嫌いじゃない。

脅されてはいない…。

「あの、泉堂君は野蛮人じゃない─です。優しいです。」


毎朝、喧嘩しながらも、弟の和也にも優しい、私への眼差しも…