ちびっこの部屋は直ぐにわかった。

ドアに掛かった『和也』のプレート。


ドアを軽くノックして、返事も待たずに中に入った。


玩具が散乱する部屋に子供サイズのベット、そこに俯せる和也。

「おい。」

「勝手に入るな…。」

顔を伏せたまま唸る。


「お前の姉ちゃん、最高に可愛いよな。お前が大好きなのもわかる。」

「………。」

ベットの横に座り、近くにあったミニカーを手にとる。


「俺も大好きなんだよ、お前の姉ちゃん。ずっと一緒のお前がうらやましいよ。」

「………うらやましい?」

ミニカーを床に走らせる。

「あぁ…、うらやましい。…でも、負けない。お前に負けないくらい大好きだからな。」


ガキに何言ってんのかなぁ俺。
苦笑いで立ち上がり部屋を出ようとした。

「…よせてやる。」


「ん?」


「遊びによせてやる!」

和也はいつのまにかベットに座り、偉そうに腕を組んでいる。


『よせてやる』って…。


「はいはい。」

笑いを噛み殺し部屋を後にした。