FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

蒼馬が深くソファに座りなおし、両腕を上に伸ばした時だった。

「……あれ?」
 
目の前が赤く霞んでいる。聖は何回か瞬きをした後、目をこすってみたが、それは変わらなかった。

「なんか……赤い?」

「……赤いわよね?」
 
蓮、紅葉もそう言う。どうやら皆にもこの赤い霞みが見えているらしい。

(何だろう。知ってる気がする……)
 
漂う空気がどこかで感じたことのあるものだ。どこで……?

「何、これ」

紅葉が天井を指差す。そこには少し大きめのビー玉のようなものが浮かんでいた。緋色の輝きを放ち、ゆっくりと目の前の高さまで落ちてくる。

「……ファリア?」
 
真吏がそう呟いた時だった。緋色の玉は目も開けていられない程の光を放った。

「──!?」

「なっ……なんだ……よ……」
 
隣にいる蒼馬の声が、だんだん消えていく。

(これは……この“気”は……)
 
知っている。懐かしい感じ。

(そう、これは……)
 
頭がぼんやりとしてくる。ふわふわと空を飛んでいるかのような浮遊感がある。