「そうよ。後は……良くレイガンを苛めてたわね」

「えっ、俺?」
 
蓮はラディウスに苛められたという夢は見ていないらしく、驚いて蒼馬を見る。

「ああ、そんなこともあったな。それで大人たちに怒られる時はいつもティージェを巻き込んで……」
 
真吏は途中で言葉を切る。

「フッ。ティージェはよほど要領の悪い男だったようだな」

「あははは、もしかして聖もそうなんじゃないのー?」

「……」
 
またしても聖は黙り込む。皆の言っていることはきっと当たっている。聖は、自分が要領が良いとは思っていない。

「でもさー、ラクシュミーとファリアはどこにいるのかな。早く会ってみたいな」
 
ウキウキしながら蓮が言うと、真吏が思い出したように手を叩いた。

「実はもしかしたらラクシュミーではないかと思われる人物がいるのだ。なあ聖」

「ああ、俺は良く分からないけど……」

「えっ、誰?」
 
皆、身を乗り出してくる。

「この間、紅葉が言ってた人……」
 
聖がそう言うと、紅葉は少しだけ考え、顔を輝かせた。

「もしかして李苑ちゃん? 本当?」
 
紅葉ばかりでなく、蓮までもがうれしそうな顔をする。