聖はしばらく考え込んでから頷いた。

「分かった。もしかしたら、本当に前世なのかもしれないって思うんだけど」

つい先程まで見ていた夢。

ここ最近、どんどん色彩が明確になってきている。それは同じ夢を見る紅葉や真吏と出会ってからかもしれない、と聖は考えていた。

「ああ、私もそう思う。自分の前世が神だったなど、あまり考えられないことなのだが」

「うん……。もしそうなら、あと2人いるってことか」

「そうだな。摩利支天ファリアと、吉祥天ラクシュミー。実は、ラクシュミーには心当たりがあってな」

「えっ、会ったことあるのか?」

「確信が持てぬのでまだ紅葉たちには言っていないが。ラクシュミーのことを思い浮かべると、その娘のことが思い出されるのだ」

「真吏が気になるのなら、可能性はあるのかもな」

「ああ。紫乃原という製薬会社の一人娘でな、現在はこの辺りに住んでいると言っていたのだ。もしかすると紅葉たちに聞けば知っているかもしれないが……」