FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

これは偶然だろうか。この世界とは明らかに違う世界を、同じように夢に見る者たち。最初は面白半分だったが……ただ事ではなくなってきたような感じがする。

「蒼馬は……ラディウスか?」
 
真吏が訊くと、蓮は頷いた。

「うん、そう言ってた。じゃあ……真吏は、シーファー?」

「ああ」

「紅葉は……」

「アナリスよ。聖はティージェ」

「成る程……」
 
真吏は乗り出していた身を椅子の背凭れに預けた。

「同じ夢を見ているのは、皆、あそこにいた者たちか」
 
天に黒く渦巻く邪悪な者──。それを近づけまいと戦い、散っていった7人の者たち。そのうちの5人までもが見つかり、一様に同じ夢を見ているという。

「何かが起きようとしているのかしら……」
 
紅葉は少し不安げだ。

「……そんなに変かな?」
 
何の疑問も持っていないのか、蓮はきょとんとして言う。

「変よ。あたしたちはまったくの他人だったのよ。ついこの間まで顔も知らなかったのに、何かなければ同じ夢なんて見ないわ」

「あ……そっか……」

「ついでに言うが…」
 
真吏が口を挟む。

「私たちが見ている夢で、名前の他に呼び名があるのを知っているか?」
 
その質問に紅葉は首を振った。しかし蓮は大きく頷く。