初めて聞く妹の気持ちに、聖は愕然とした。
 
自分が護ってやらなければ。そうしなければ沙都美が傷ついてしまうからと、勝手に思い込んでいたのだ。
 
彼女は彼女なりに、ちゃんと現実を受け止めていたのに。自分だけが苦しんでいればいいなんて、思い上がっていた……。


「ごめん、沙都美……。俺、お前のこと考えてるつもりだったけど、全然、そうじゃなかったんだな……」

「そんなこと、ないけど……」
 
沙都美は両手を伸ばし、聖の手に触れた。

「後で、いっぱい、話そうね。起きたら……」

「……ああ」
 
聖の返事を聞いて、沙都美は更に笑った。
 
そして、ふわりと消えていく。

 

沙都美が起きたら──。
 
目覚めてくれるのかどうか解らないけれど。今は信じたかった。

 
激しい頭痛はいつの間にか消え、暖かい、穏やかな心だけが残った。






『光が、六つ』
 
女神フォーチュンは呟く。
 
あと一つで光は全て揃う。

『七つ目は、すぐそこに……』
 
そして運命は悲劇を迎える。フォーチュンは静かに、瞳を閉じた……。