FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

体に何かまとわりついている。反射的に手を動かすと、湿った柔らかい布が絡み付いてきた。

更にもがくとますます布が絡まって身動きがとれなくなり、引っくり返った。

(なんだ、これっ)
 
もがいていると、スポッと頭だけ抜けた。良く見ると、絡み付いていたのは洗い晒しの真っ白なシーツだった。

「ごめんなさいっ、大丈夫ですかっ!?」
 
白い家の方角から少女が一人、駆けてくる。少女は聖の姿を確認すると、慌てた様子で頭を下げた。

「すみませんすみません、お怪我ありませんか?」

「いや、大丈夫だけど……」
 
突然の突風に飛んできたシーツ。駆け寄ってきた少女。何となく状況が掴めたので、聖はシーツを少女に渡した。

「ごめん、汚しちゃった」
 
白いシーツは草と土がつき、汚れてしまっている。転んで汚してしまったのは自分なので、一応、持ち主であろう少女に謝まった。

「いえ、そんなものは気になさらないでください。本当にすみません」
 
少女は何度も頭を下げて謝ってくる。丁寧な言葉遣いが、良家のお嬢様だと思わせた。

「ああっ、血が……」

「え?」
 
そう言われて、左手の甲から血が出ているのに気付く。

昨日蒼馬に殴られた時にぶつけて出来た傷が、今ので開いてしまったらしい。