そう思っていた矢先、“それ”は現れた。

(なんだ?)
 
物凄く大きな“気”を感じる。今までに感じたことの無いような、巨大で邪悪なものだ。

「どうかなさいましたか?」
 
顔を険しくするティージェに、神将たちが声をかける。

「何か感じるか?」

「え?」

「凄く嫌な“気”だ…」
 
しかし酷く微弱だ。感覚の強い者でないと感知出来ないのだろう。未だ未熟なこの神将たちには感知できていない様子だ。

「ちょっと天帝のところに行って来る。ここを任せてもいいかな」

「構いませんが……。何か非常事態ですか!?」
 
神将たちの表情も険しくなる。

「じゃないことを祈るが……まあ、大丈夫だろう」
 
厳しい面差しの2人を落ち着かせるため、柔らかい口調でそう言うと、ティージェは天帝のもとへと向かった。

 

その途中、同じ『四天王』の地位にある持国天ラディウスと合流した。ティージェと同じく、正装である鎧を纏い、マントを翻らせながら走っていた。

「気付いたか」
 
ラディウスの表情も硬い。

「ああ。何者の“気”だろう」
 
話ながら走っていると、『四天王』増長天シーファーの走る姿を前方に捉えた。

「シーファー!」

「ティージェ、ラディウス! やはり感じたか、邪悪な“気”を」
 
そのシーファーの言葉に、いよいよ邪悪な“気”が近づいていることが本当になる。何か良くないことが起こる前兆なのか……。
 
3人はそれを天帝に報せ、然るべき処置をするべく、城内を駆けていった……。