「だって……大丈夫なのか? けっこう思いっきり殴ったし……どのくらい酷いんだ、傷」

「全然、大丈夫だって」
 
そう言って起き上がろうとすると、全身にビリビリと痛みが走った。

(なんか、ヤバイ痛み)
 
しかし笑顔を見せなくては、と笑う。だがその笑顔もかなり引きつっていたらしく、真吏と蓮に担がれてソファに寝かせられた。
 
騒ぎを聞きつけた紅葉もやってきて、医者が呼ばれることになった。

「いいよ! 大した事ないから」
 
聖はそう訴えるが。

「何を言う。その全身から流れ出ている脂汗は何なのだ。痛いのだろう? 痛くないというのならこうしてやるぞ」

と言って、真吏は聖の上腕を強めに叩いた。

「いっ……」

「ほうら、痛いのだろう?」
 
勝ち誇ったかのように笑う真吏に、顔を歪めながらも彼を睨みつける聖。

「うわああっ、ごめん、セイっ、痛いか? 痛いんだな? うわー、ごめんんーっっ」
 
蒼馬は必死に謝る。

「落ち着けよ……。普通だって殴ったら痛いだろ?」

「そんなん考えてなかった」

「……ああ、そう」

 

その後、やってきた医師は聖達全員に説教をし、安静を命じて帰っていった。

「せっかく元気になってきてたのになあ」
 
早く聖を外に連れ出したい蓮は、残念そうに呟く。しかしそれは蒼馬に重くのしかかる言葉だった。

「……ごめん」

「あっ、違うよ、蒼馬くんを責めているわけじゃないんだ!」
 
弁解しても蒼馬の落ち込みは取れない。
 
そこへ紅葉が割って入る。