FORTUNE～ﾌｫｰﾁｭﾝｼﾘｰｽﾞPAGE1

しかし、現実には有り得ない光景の夢だ。もしも本当に前世だったとして、あれはどこの世界なのだろう。

何度も何度も繰り返し見る夢だ。今まで気になっていはいたけれど、他人に言ったら笑い飛ばされて終わりだと思うからこそ、誰にも相談してこなかった。

それでも。今ここで三人で顔を合わせて見ると、あれは現実にあった出来事なのだと、本能的に悟ってしまう。


「其方、ここに居候していると言ったな？」
　
真吏の問いに、聖は軽く頷いた。
　
それからしばらく考え込むような仕草をした後、ソファから立ち上がり、きちっとした動作で紅葉に頭を下げた。

「もしよろしければ、私もこちらにお世話になりたいのだが、どうだろうか」

「えっ？」
　
突然の申し出に紅葉は少し戸惑ったようだったが、すぐに笑顔になり、ソファから立ち上がった。

「いいわ。あたしもこのままじゃすっきりしないし。三人で夢について語り合ってみますか」

「有り難い、よろしく頼む」
　
真吏は更に深くお辞儀をした。

「あのね……。ここに住む条件として、お願いだから普通に喋って。それと、『殿』なんてつけないでね」　

ビシッと言い放つ紅葉に、真吏は真面目な顔で頷いた。

「承知した」

「……」
　
この言葉遣いは直らない。紅葉、そして聖はそう思った。
　
こうして聖の同居人は三人になったのであった。