FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

その声に気付いた真吏と紅葉の目が同時に聖を捕らえた。

「……何か?」
 
怪訝そうに訊く真吏に、聖は軽く首を振った。

「それで?」
 
紅葉は身を乗り出すようにして真吏を促した。

「その美しい景色が、やがて……炎の海となり、空には暗雲が広がり、人や動物が死に、一転して地獄絵図に成り果てるのだ」

(同じだ……)
 
二ヶ月前──。
 
事故に遭う前まで見ていた恐ろしい夢と一緒だ。
 
「同じ夢を見ている」と口を挟むべきだろうか。そう、迷っていると。

「赤い目の。髪の長い、人……のようなものが、空に浮かんでいたり、しない?」
 
紅葉がそう言った。それに対し、真吏は少し目を大きくし、頷いた。

「何故それを?」

「ええ……。たぶん、あたしの見ている夢と一緒だわ」

「えっ、紅葉も?」
 
聖は思わずそう言った。

「ええ。毎日ではないけれど。恐らく、柊さんの見ている夢と一緒よ」
 
その言葉に、聖は少しだけためらいを見せたが、顔を上げ、言った。

「たぶん……俺の見ている夢も一緒だと思う」

「えっ!?」
 
紅葉は驚いて声を上げた。

「ふむ? 同じ夢を見る者が三人……? どういうことであろうか」