紅葉は聖の後方をジッと見つめた。

「本当におかっぱ頭の女の子、知らない?」

「知らない」
 
聖は首を振った。

「そう……。ま、いいわ。その件については……そうだ!」
 
いきなり素っ頓狂な声を上げる紅葉。そして、聖の手を持ってブンブンと振り回し始めた。

「あのね、あのね、すっごくかわいい娘がいるの。その娘ね、すっごく勘が良くて、もしかしたらおかっぱ頭の娘のこと分かるかもしれない。今度逢わせてあげる。湖の向こう側に住んでるんだけどね、ほんっとかわいいの!」

「は、はあ……」
 
紅葉の勢いに唖然としつつも、何とか返事をする。
 
そういうわけで、聖はまったくの他人と同居することになったのだった。