体を優しく拭きぬけていく風。
 
目を閉じ、それを感じる。

 
やがて風も収まり、フォーチュンは目を開けた。

『ここにいろと……言うのですね、貴方……』
 
そう呟いて、また目を閉じる。
 
次に目を開けた時には、その瞳に強い光を宿していた。

『では、そうします。貴方の真の願いが叶うまで、私は糸を紡ぎ続けましょう……』

 
 
運命の女神は歯車を廻す。
 
数多の命を導く“運命”の行方を、そっと、見守り続ける──。





  ──終わり──