「あ……ありがとう。でも、紅葉のところに来たんじゃない。李苑に……逢いに」
「え? 私に?」
李苑がキョトン、とする。
どう切り出そうか、何を話そうか迷っていると、玄関先からリビングの一角が見えた。
以前あった観葉植物たちの姿がない。
ソファやテーブルもない。
もう引越しの準備は終わってしまったのだろうか。そして、もうすぐいなくなってしまうのだろうか……。
「イギリス……行くんだって?」
「はい、明日の朝には発ちます」
さらりと李苑は答える。
(そんなにすぐ?)
聖は愕然とした。
明日になったらもう逢えない……そう思うと、心臓がチクチク痛んだ。
走り通しだったからではなく、この少女に逢えなくなることが嫌だと心が叫んでいる。それを痛いほどに感じた。
「俺、李苑に逢えなくなるのが嫌だと思って……」
頭で考えても解らない。
心で感じたまま、言葉にしてみた。
「あの……でも、すぐに帰って来れますから……」
「すぐに帰れる距離じゃないだろう?」
「……はい」
「そんなの……嫌だ。離れたくない……」
切なそうに李苑を見つめ、心のままに、言う。
「李苑が、好きだ」
その言葉に、李苑はゆっくりと瞬きをした。
「……私が?」
戸惑い気味に聞き返す。聖は小さく頷いた。
李苑は目を伏せ、僅かに頬を紅く染めた。
「あ、ありがとうございます…」
「え? 私に?」
李苑がキョトン、とする。
どう切り出そうか、何を話そうか迷っていると、玄関先からリビングの一角が見えた。
以前あった観葉植物たちの姿がない。
ソファやテーブルもない。
もう引越しの準備は終わってしまったのだろうか。そして、もうすぐいなくなってしまうのだろうか……。
「イギリス……行くんだって?」
「はい、明日の朝には発ちます」
さらりと李苑は答える。
(そんなにすぐ?)
聖は愕然とした。
明日になったらもう逢えない……そう思うと、心臓がチクチク痛んだ。
走り通しだったからではなく、この少女に逢えなくなることが嫌だと心が叫んでいる。それを痛いほどに感じた。
「俺、李苑に逢えなくなるのが嫌だと思って……」
頭で考えても解らない。
心で感じたまま、言葉にしてみた。
「あの……でも、すぐに帰って来れますから……」
「すぐに帰れる距離じゃないだろう?」
「……はい」
「そんなの……嫌だ。離れたくない……」
切なそうに李苑を見つめ、心のままに、言う。
「李苑が、好きだ」
その言葉に、李苑はゆっくりと瞬きをした。
「……私が?」
戸惑い気味に聞き返す。聖は小さく頷いた。
李苑は目を伏せ、僅かに頬を紅く染めた。
「あ、ありがとうございます…」


