FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

「えええ!」
 
蒼馬が突然叫んだ。

「どうした?」

「セイ、見てみろよ!」
 
と、携帯電話を放ってよこされる。

「蓮からのメールなんだけど」
 
画面をスクロールさせていくと、蓮も合格したことや、聖や蒼馬へのお祝いの言葉などが書かれていた。その先に……李苑のことが書かれていた。

「え……?」
 
聖は目を丸くした。

「おい、どうするよ?」
 
蒼馬が顔を覗き込んでくる。

「どうって……」
 
半ば頭がパニックになっている。
 
画面を上にスクロールさせ、もう一度メールの内容を読み直した。


『李苑ちゃん、高校は受験しなかったみたい。俺たちの合格発表の結果聞いたら、すぐにイギリスに帰るんだって。送迎会とか、したかったね……』


「イギリスって……」

「お父さんがいるんだろ? 前に言ってたぜ。日本にある製薬会社は支店で、本社はイギリスにあるって。家は近くの国の……なんてったっけ? アイ……アイラ……」

「アイルランド?」

「そう、それ! そっちの方だとかって」

「……」
 
ここから李苑の住むところまで電車で1時間。
 
それくらいなら、いつでも逢えると思っていた。受験が終わったら、やっと逢えると思っていた。なのに、すぐに行ってしまうと?