FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

「何か事情があるようだから、信頼おける人のところに預けますって、連絡を頂いたの。すぐに迎えに行こうと思ったんだけど、聖にもしばらく時間が必要なんじゃないかって考え直して……。東京が崩壊したってテレビで報道されて、和泉さんの住所も東京だったから、まさかと思いながらテレビにかじりついていたら……負傷者の中に貴方の名前があったから、運ばれた病院に飛んで行って、貴方を見つけて……その直後なのよ、沙都美が起きたのは。……兄妹って、どこか繋がっているものなのかしらって、そう思ったわ」
 
その言葉に、沙都美は僅かにはにかんで肩を竦めた。

「良く分かんないけど。でもおにーちゃん! うちには連絡くれなかったくせに、蒼馬くんとは連絡取ってたのね!」
 
プクッと頬を膨らませ、沙都美は怒る。

「え……?」
 
ドクン、と心臓が跳ね上がる。

「酷いじゃない! お母さん心配で夜も眠れなかったのにっ……」

「蒼馬!?」
 
沙都美の言葉を遮り、聖は叫ぶ。

「な、何よ! 私の話聞いてんのお~?」

「蒼馬は!?」
 
またも無視されて、沙都美は眉間にしわを寄せた。

「蒼馬くんなら隣の病室!」
 
それを聞くや否や、聖はベッドから飛び降りた。
 
床に足をつけた途端、体中に痛みが走り、ガクッと膝の力が抜ける。

「お兄ちゃん! ああもう、何やってんのよ~!」
 
沙都美が手を貸してくれたので、何とか立ち上がる。