大きな歯車が一つ存在するだけの、真っ白な、無機質な空間。
フォーチュンは、静かに見下ろしていた。
白い空間に浮かぶ、一人の少年を。
『……貴方に必要だったのは、愛しい者の死ではなく、仲間達を想う強い心と、絆だったのですね……』
心から必要とした仲間達と一緒に過ごした時間。それが聖にとって何よりも大切なものだったのだ。
そして、一人一人の“運命”を変えようとする強い心が、この悲しい運命を打ち破ったのだろう。
『ありがとう、聖』
フォーチュンは穏やかな笑みを浮かべ、そう言う。
そして、空間に横たわる聖の額にそっと手を置いた。
『さあ、選びなさい。貴方はこれからどうしたいのか』
目を閉じたままの聖に、語りかける。
『このまま身を漂わせ、全てを忘れて新しい生を受けるのか。それとも、“天野聖”として、これからも生きるのかを。さあ……貴方が選んで』
フォーチュンは聖をジッと見つめた。
──返事は即答だった。
『では、お行きなさい』
フォーチュンが手を離すと、聖の体はずっと下の方に降りていき、やがて“白”に阻まれて見えなくなった。
それを見届けると、満足そうに微笑んだ。
『私は、罪を犯しました』
相変わらず音もなく、ゆっくりと廻り続ける歯車を見て、呟く。
『生まれ変わるべき人間を、戻してしまった。その罪で私を裁いてください』
ゆっくりと目を閉じ、体を後ろに倒す。
『私を貴方の元へ……創造神<ブラフマー>……』
二千年前に滅び、もうこの世界には存在しない彼の元へ。
逝かせてください──。
フォーチュンは、静かに見下ろしていた。
白い空間に浮かぶ、一人の少年を。
『……貴方に必要だったのは、愛しい者の死ではなく、仲間達を想う強い心と、絆だったのですね……』
心から必要とした仲間達と一緒に過ごした時間。それが聖にとって何よりも大切なものだったのだ。
そして、一人一人の“運命”を変えようとする強い心が、この悲しい運命を打ち破ったのだろう。
『ありがとう、聖』
フォーチュンは穏やかな笑みを浮かべ、そう言う。
そして、空間に横たわる聖の額にそっと手を置いた。
『さあ、選びなさい。貴方はこれからどうしたいのか』
目を閉じたままの聖に、語りかける。
『このまま身を漂わせ、全てを忘れて新しい生を受けるのか。それとも、“天野聖”として、これからも生きるのかを。さあ……貴方が選んで』
フォーチュンは聖をジッと見つめた。
──返事は即答だった。
『では、お行きなさい』
フォーチュンが手を離すと、聖の体はずっと下の方に降りていき、やがて“白”に阻まれて見えなくなった。
それを見届けると、満足そうに微笑んだ。
『私は、罪を犯しました』
相変わらず音もなく、ゆっくりと廻り続ける歯車を見て、呟く。
『生まれ変わるべき人間を、戻してしまった。その罪で私を裁いてください』
ゆっくりと目を閉じ、体を後ろに倒す。
『私を貴方の元へ……創造神<ブラフマー>……』
二千年前に滅び、もうこの世界には存在しない彼の元へ。
逝かせてください──。


