それを見た瞬間、ヴァジュラの顔に畏怖が表れた。
 
思わず聖から手を放し、しかしそれではいけないという思いから、鋭い爪で聖の体を切り裂いた。

(──!)
 
目の前に飛び散る、紅い血飛沫。
 
それを見たのを最後に、聖は真っ暗闇に落とされた。
 
ヴァジュラに脳天を叩きつけられ、アスファルトの上に落ちる。まるで玩具のように、体は大きくバウンドして、そして、動かなくなった。

 
大きく息をしながら、ヴァジュラはしばらく聖を眺めた。──生きているようには見えなかった。

「……ふ……ふはははは……」
 
乾いた笑い声が漏れる。

「はははは……はははは!! これでこの世界は私の物だ! やったぞ! 運命をこの手で握り潰してやった!!」

 
ヴァジュラの声は辺りに響き渡る。
 
その姿は、再び大きく成長していった……。