皆の願いは。
 
“運命”を変えること。
 
一人になっても戦う事に意味があるのだとしたら。

完全にヴァジュラを消し去り、この二千年もの間縛られ続けた“運命”を変える。それが、命を落としていった皆に報いる唯一の方法。

(今頃、思い出すなんてっ……!)
 
こんな最悪の状況で、やっと解るなんて、遅すぎる──!

 
体がギリギリと締め上げられる。

「うああぁぁあ!!」
 
鈍い音が耳に届く。骨が数箇所折られたのが分かった。
 
「いい声だ」
 
満足そうに笑いながら、ヴァジュラは更に力を込めた。
 
骨はおろか、肉まで潰されてしまう。

(駄目だ……まだ)
 
朦朧としてくる意識の中、最後の力を振り絞る。

(まだ、俺は、何もしてないっ……!!)
 
こんな自分と一緒にいてくれた仲間達のために。

彼らの願いを。

自分の願いを、叶えなければ。
 
──ヴァジュラを、倒す!

 
ゆらり、とオーラが立ち上がった。
 
透明な蒼いオーラから……眩く輝く金色ものへ。