その気配を、まったく感じる事が出来ないなんて。
『毘沙門天!』
怒鳴る阿修羅王の声を聞きつけたヴァジュラは、ゆっくりと両手を広げた。
「邪魔はさせん」
と、その身から邪空間の一部を噴出させ、あたり一面に黒い嵐を巻き起こした。
東京を護っている阿修羅王達の結界を支える負担が増大する。これでは聖の救助も難しい。
身を半分ほどに減らしたヴァジュラは、再度聖に手を伸ばした。
触れる直前、それに気付いた聖は素早く地面を蹴って移動する。
それをその大きさからは想像も出来ないようなスピードで追いかけるヴァジュラ。
迫り来る白い手を、剣で斬り付けた。
斬られて真っ二つになった手は、まるで紙のようにヒラヒラ揺れると、あっという間に元に戻った。
ビルの谷間を駆け抜ける聖を、それらを破壊しながら追うヴァジュラ。
聖は崩れかけたビルに上り、やってくる倒すべき相手を見つめた。
(あの黒いものが、倒すべき相手)
それを、漠然と感じていた。漠然と。……はっきりと身体で感じる事が出来なかった。
皆で倒そうとしていたモノが目の前にいるというのに。
アレから皆、護ってくれたのに。
『毘沙門天!』
怒鳴る阿修羅王の声を聞きつけたヴァジュラは、ゆっくりと両手を広げた。
「邪魔はさせん」
と、その身から邪空間の一部を噴出させ、あたり一面に黒い嵐を巻き起こした。
東京を護っている阿修羅王達の結界を支える負担が増大する。これでは聖の救助も難しい。
身を半分ほどに減らしたヴァジュラは、再度聖に手を伸ばした。
触れる直前、それに気付いた聖は素早く地面を蹴って移動する。
それをその大きさからは想像も出来ないようなスピードで追いかけるヴァジュラ。
迫り来る白い手を、剣で斬り付けた。
斬られて真っ二つになった手は、まるで紙のようにヒラヒラ揺れると、あっという間に元に戻った。
ビルの谷間を駆け抜ける聖を、それらを破壊しながら追うヴァジュラ。
聖は崩れかけたビルに上り、やってくる倒すべき相手を見つめた。
(あの黒いものが、倒すべき相手)
それを、漠然と感じていた。漠然と。……はっきりと身体で感じる事が出来なかった。
皆で倒そうとしていたモノが目の前にいるというのに。
アレから皆、護ってくれたのに。


