FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

繰り出した剣が、ヴァジュラの手に掴まれ、大気中に消えた。

すぐに真吏の手の中に戻ってくるも、構える前に下っ腹に重い痛みが走った。ヴァジュラの鋭い爪が真吏の腹を貫いていた。

「ぐっ……」

「増長天!」
 
すぐにジャクラが回り込んできて、真吏を後ろに追いやった。

だが、そんなジャクラにも容赦ない攻撃が繰り出された。
 
下から爪で斬りつけられ、前面の肉が抉られる。大量の血飛沫が飛んだ。

「ジャクラっ」

「下がってろ!」
 
ジャクラはそれでも真吏を庇う。

「ティージェを覚醒させる方法は他にあるはずだ。それは俺には分からない……だが、お前たちなら、それが分かるのかもしれない」
 
更にヴァジュラの爪はジャクラの体を切り裂いた。

「グウッ……考えろ。ティージェを、目覚めさせる方法を……!」
 
ドスッと重い音がして、ジャクラの体は完全に爪に貫かれた。

「……運命を、変え、るんだ……」

「ジャクラ!」
 
叫んでいる間にも、ヴァジュラの爪は真吏を標的にして襲い掛かってきた。

「勝手なことばかり言いおって……!」
 
何とか爪をかわし、トントン、と軽く後ろに跳ぶ。
 
聖を覚醒させる方法など、分かる筈がない。今さっき彼が創造神だと聞かされたばかりだというのに。