「何っ……」
一瞬の内に、気配が後方に移動する。
「成る程。風使いの増長天。風の中に“気”を隠してきたか」
ゾクッと悪寒が走る。不気味な声。
振り向いてヴァジュラの心臓部目掛けて刺突を繰り出し、見事命中させたが──ニヤリと笑っただけで、顔色一つ変えずに真吏の剣を引き抜いた。
真吏は2、3歩下がり、ヴァジュラを見る。
剣の刺さっていたところには、向こう側が見えるくらいしっかりと穴が開いていた。しかしまったく慌てる様子もなく、ヴァジュラは手を掲げた。
すると上空を覆っている邪空間が激しく渦巻き、その一部がヴァジュラの体を取り巻いた。
黒い霧のようになったそれは、見る間にヴァジュラの傷を癒していく。
更に笑うその顔が、憎らしくて堪らない。
根本的なものを絶たなくてはならないのだ。
邪空間は憎悪や恐怖の感情を吸い込んで大きくなる。それらを一気に押しつぶす力が必要なのだ。そう、創造神のような……。
「聖……」
真吏に変わってヴァジュラに突っ込んでいくジャクラ。その隙に真吏は剣を持ち直した。
すぐにジャクラの応援に向かう。
せめて聖が目覚めるまで。
それまでここでヴァジュラの足を食い止めなければならない。
そう思い、必死に戦った。
斬り付けても斬り付けても、すぐに回復してしまう化け物を相手に。何とか“運命”を切り開こうとして。
一瞬の内に、気配が後方に移動する。
「成る程。風使いの増長天。風の中に“気”を隠してきたか」
ゾクッと悪寒が走る。不気味な声。
振り向いてヴァジュラの心臓部目掛けて刺突を繰り出し、見事命中させたが──ニヤリと笑っただけで、顔色一つ変えずに真吏の剣を引き抜いた。
真吏は2、3歩下がり、ヴァジュラを見る。
剣の刺さっていたところには、向こう側が見えるくらいしっかりと穴が開いていた。しかしまったく慌てる様子もなく、ヴァジュラは手を掲げた。
すると上空を覆っている邪空間が激しく渦巻き、その一部がヴァジュラの体を取り巻いた。
黒い霧のようになったそれは、見る間にヴァジュラの傷を癒していく。
更に笑うその顔が、憎らしくて堪らない。
根本的なものを絶たなくてはならないのだ。
邪空間は憎悪や恐怖の感情を吸い込んで大きくなる。それらを一気に押しつぶす力が必要なのだ。そう、創造神のような……。
「聖……」
真吏に変わってヴァジュラに突っ込んでいくジャクラ。その隙に真吏は剣を持ち直した。
すぐにジャクラの応援に向かう。
せめて聖が目覚めるまで。
それまでここでヴァジュラの足を食い止めなければならない。
そう思い、必死に戦った。
斬り付けても斬り付けても、すぐに回復してしまう化け物を相手に。何とか“運命”を切り開こうとして。


