結界から出て行く2人の姿を、十夜は祈るようにして見送った。
ヴァジュラは可笑しくて、可笑しくて堪らなかった。
あんなに恐れていた創造神の力が現れないとは。
「どうやら運命の流れは私に向いているようだ」
唇の端を上げながら、最大級の“気”を十夜の結界に撃ち放った。
弾幕のように撃ち込まれ、ドドドド、と響く重低音を心地よく聞いていると、“気”のいくつかが弾かれて上空に飛んでいくのが見えた。
「来たか」
ヴァジュラが呟くのとほぼ同時に、真正面からジャクラが突っ込んできた。それを余裕の微笑みで迎える。
「雑魚がいくら来ようと、無駄だ」
シャッと爪を伸ばし、ジャクラの剣を正面から受け止める。爪が触れた部分から、剣がジュワジュワと溶け出す。
「チッ」
ジャクラは舌打ちすると、後方に跳んで離れた。
瘴気が濃すぎてまともに刃は交えられない。
「どうした、貴様一人か?」
せせら笑うヴァジュラの背に、ドウッと“気”がぶつかった。
「……」
顔だけを動かし、後方を確認する。真吏が剣を振り落としていた。
そのままヴァジュラを斬り付けたが──手応えがなかった。
ヴァジュラは可笑しくて、可笑しくて堪らなかった。
あんなに恐れていた創造神の力が現れないとは。
「どうやら運命の流れは私に向いているようだ」
唇の端を上げながら、最大級の“気”を十夜の結界に撃ち放った。
弾幕のように撃ち込まれ、ドドドド、と響く重低音を心地よく聞いていると、“気”のいくつかが弾かれて上空に飛んでいくのが見えた。
「来たか」
ヴァジュラが呟くのとほぼ同時に、真正面からジャクラが突っ込んできた。それを余裕の微笑みで迎える。
「雑魚がいくら来ようと、無駄だ」
シャッと爪を伸ばし、ジャクラの剣を正面から受け止める。爪が触れた部分から、剣がジュワジュワと溶け出す。
「チッ」
ジャクラは舌打ちすると、後方に跳んで離れた。
瘴気が濃すぎてまともに刃は交えられない。
「どうした、貴様一人か?」
せせら笑うヴァジュラの背に、ドウッと“気”がぶつかった。
「……」
顔だけを動かし、後方を確認する。真吏が剣を振り落としていた。
そのままヴァジュラを斬り付けたが──手応えがなかった。


