「チイィッ!」
 
ヴァジュラは向かってくる聖に怯みながらも、真正面から相手をするのと同時に、触手を動かした。

「──聖! 突っ込むなっ……」
 
真吏が叫んで、聖を止めようとした──が。
 
ヴァジュラしか見えていなかった聖は、横から飛んできた触手に気付かなかった。
 
そしてそれに、勢い良く体を貫かれた……。





『……』

フォーチュンは、震える手をそっと歯車から引き戻した。

もはや、彼女の目には何も見えなかった。

これから起こる出来事も、その先にある未来も──。